ウシの眼の解剖

1997年に前任校の2年生の理系(男子2名、女子18名)でウシの眼の解剖をしました。ちょうど、教科書では神経の所をやっているので、受容体の眼もやりました。そこで、ウシの眼の解剖をすることにしたわけです。ウシの眼は近くの肉屋に電話したところ、ウシを23体解体するので(つまり眼ならば46個)、眼ならばタダで提供しましょうと快い返事を頂けました。そこで、1998年の1月27日に取りに行き、次の日に行ったわけです。
 その日にやってきたウシの眼はまわりに筋肉や脂肪、瞼などがついており、瞼には睫毛もありました。なかなか生々しいもので、生徒たちは最初はいやがっていましたが、やがてやり出すと静かにただただ眼と格闘していました。写真の中には、クリックすると大きくなるものもあります。しかし、現在ではBSEの関連で牛の目を使うことができなくなりました。今では代わりに豚の目を使う場合が多いです。ただ、牛に比べて小さいのでいまいちインパクトが足りません。

牛の眼の解剖1

牛の眼の解剖2

牛の眼の解剖3

牛の眼の解剖4

肉を取った後、はさみで2つに切ります。

牛の眼の解剖5

目の周りの肉を取っています。

牛の眼の解剖6

牛の眼の解剖7

牛の眼の解剖8

切り開いたところです。

牛の眼の解剖9

牛の眼の解剖10

取り出したレンズを文字の上に置きます。

牛の眼の解剖

虹彩の部分と網膜の様子です。

方法

目の構造
  1. 牛の眼には周りにたくさんの筋肉や脂肪が付着しているため、眼科用はさみ(あるいは解剖はさみ)で丁寧にそれらを除く。視神経を切らないように注意して。
  2. すべて綺麗になった眼球を半分に切る(はさみで切れます)。そのとき、前後で分かれるように切ったほうがよいでしょう。すると中から透明なガラス体が出てきます。
  3. 完全に二つに割ってしまう。ガラス体を取り除くとレンズ(水晶体)が前の方についているのが分かるので取り出す(綺麗な凸レンズです)。字の上に置くと字が拡大されて見られます。
  4. レンズの前には黒い虹彩(瞳の大きさを調節しているもの)があるので、これも取り除きます。すると透明な角膜があります。
  5. 切り取った後ろ側には黒い膜と血管が見られます。血管が出ている場所は視神経の出口でもあり、ものを見ることのできない盲点のある場所です。

 このようにしてやっていきますが、最初の筋肉・脂肪を取り除くのが大変なだけで、後は特に難しい所はありません。

生徒たちの感想から

  •  気持ち悪かったけれど、思ったより楽しくできた。ふだんは見ることができないものなので、興味深く見ることができた。実際に触ってみないと、その弾力や構造がわからないところがあるので、よかった。ガラス体など思っていたものととはちがってすごくきれいだと思った。発生などで学んだようにいろいろなものが分化してきて、もとは同じ外胚葉の一部だったというのも不思議な気がした。目の構造を自分の目で実際に見ることができ、さらに理解を深めることができたと思う。
  •  牛の眼なんて、初めて触ることができてうれしかった。思っていたよりも大きかった。筋肉と脂肪をはさみで切るとき、はさみが小さかったので、手が痛かったけど、こつをつかむとよく切れた。神経を見つけてさわってみた。白くて思ったより太かった。ガラス体の感触がよかった。レンズを通して字を見たら、本当に大きく見えた。自分にもあるのなんて不思議だ。牛はかわいそうだけど、すごく私にとって良い経験になった。
  •  最初は素手でなんて絶対にできないと思っていた。でも眼球を見ていたら、やらなきゃいけないと思って、おもいきってやってみたら、今までにさわったことのない、変なかんじがしてたのしかった。ガラス体が、ゼリーみたいでつぶれたりしないし、水晶体とガラス体が本当に透明なんだなぁと思いました。私は禁句と死亡をとりのぞくときに、視神経も少しきってしまったけど、すごくかたかったので、神経はすごくしっかりしているとわかった。解剖はもうやりたくないけど、楽しかったし、実際に本物をさわって、目の構造がよくわかったのでよかったです。
  •  私は解剖を楽しみにしていましたが、牛のかわいい目を見たら少しかわいそうになってきました。しかし牛の眼をむだにしず、これからの未来に生かすために解剖しなくては・・・と思ってやってみると以外に楽しくできました。これがもし人間の目だったらどんな感じだろう・・・と思いました。目を切った中身をみたのは生まれてはじめてでした。昔は目の中に肉みたいなものがうまっているのかなぁと思っていましたが、ガラス体や水晶体や、あっさりしたものを見たので、これが中身かぁ〜と実感でき、目に対する印しょうもかわりました。
  •  目の構造を実際に見たことがなく、模型でしか見たことがなかったけど、自分で解剖してみて、本当にすごいと思った。中を開けるまでに筋肉などを取り除かなければならなくてなかなか切れずに大変だった。水晶体を紙の上に置いてみたら、紙の上の字が大きく見えた。虹彩を触ってみたら手が黒くなった。他にもいろいろな部分が見れた。めったに見れるものではないので、いい勉強になってよかった。
  •  最初は、目を持つ手が震えていたのが自分でも分かりました。でも途中からは集中してよくできたと思います。初めて見た目の中は想像していたよりもずっときれいでした。水晶体にも弾力性があることや、紙の上の字がけっこう大きく見えたのにもおどろきました。こうして自分の手と目で中身を見ると、その部分と名前がとてもよく分かることができました。そしてこの実験で生物をもっともっと勉強し、追求したいとも思いました。本当に私にとっては得ることの多かった一時間だったと思います。
  •  大変おもしろかった。あんな中にたくさん入っていたので、”こんなものもより小さいヒトの目の中にもあるんだなぁ”と生物のメカニズムとコンパクトさにほうっっと感心してしまった。ガラス体がつぶれたのは、くやしかった。目つぶしなんて、簡単にはできんなぁと思った。
  •  初めての解剖ということで、慣れないことでしたので、難しい所やうまくいかない所もありましたが、実際の目がどのような構造をしているかを知ることができ、大変興味深いと思いました。図や写真だけでなく、こうして自分の手で実験を行い、自分の目で見ることによってより理解が増したと思います。貴重な経験をさせて下さった方がたやウシに感謝したいと思います。
  •  解剖は初めてで、楽しみだった。実物を見ると少し気がひけるような感じだったけど、いろいろなことが明らかになるにつれて、ただ解剖だけに集中した。はさみも上手に使えて、手速く解剖できたと思う。ガラス体のなんともいえない感触、水晶体の美しさに感激。
  •  すごいきれいで感動した。ガラス体が思っていたよりもやわらかかった。構造もよくわかったが、あんな構造でよくものがみえるなぁと不思議に思った。自分の目もああいう構造をしているのかぁと改めて思った。視神経も見たが、どうしてなんな管で見たものを伝えれるのだろうと思った。目には、いろいろな不思議な構造があるなぁと思った。そして目をこれかも大切にしていきたい。
  •  最初はいやだったけれども、肉は料理とかでするものとかわらなかった。眼もべつに臭くなくって思ったより良いものでした(でも、カエルはくさそう)。肉をきっているときは、普通にできたけど、まぶたとまつげはいやだった。強膜はすごいしっかりとしていて厚くびっくりした。ガラス体はふにゃふにゃしていてこんなのから眼ができているのかと思った。

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