クマムシの世界(その1)

クマムシって何?(その1)

 クマムシを知っていますか?クマムシの仲間はゆっくり歩くことから緩歩(かんぽ)動物と言われています。世界には約350種、日本にも約30種いると言われています。体長は大きいもので1mm、小さいものは0.5mmくらいです。この動物は他の動物との類縁関係がはっきりしていないくて、ワムシ等の袋形動物門と、節足動物門の中間のものであるとも言われています。
 このクマムシ、非常にタフな動物として知られています。水がなくても120年も生き、摂氏150度、マイナス200度のもとに数分間置いておいても死にません。真空に近い状態でも、強い放射線を当てても生き残ります。ただクマムシはそのままの状態で耐えるのではなく、タル状になっています。この状態は簡単に言うと仮死状態と言ってもいいでしょう。このようになって厳しい環境に耐えることを「クリプトビオシス」と言います。ある博物館で、乾燥状態に置かれたコケの標本に水を加えたら、クマムシとワムシが現れ、活動をしばらくして死んだという記録が残っています。

写真とビデオについては、クマムシの世界(その2)にも追加して載せていますのでごらん下さい。

クマムシの観察

 クマムシは結構簡単に観察できる動物です。まあ、身近にどこにでもいるといってもよい動物です。植物体に細い針のようなものを突き刺し、液を吸っています。よってコケでもなんでもいいので取ってきて観察すれば見られます。ここでは、学校の側溝に生えていたコケを取り、細かくちぎった後水に浸し、下に沈殿してきた泥などとともに観察しました。上手くすればゆっくりと歩いている姿を見ることができます。

クマムシの写真

 写真はいずれも接眼10倍、対物10倍で観察・撮影したものです。最初の4枚はスキャナー時に拡大しないもの、後の4枚はスキャナーで取り込むときに拡大をしました。

クマムシの写真 クマムシの写真 クマムシの写真

 下の3枚の写真はEOS Kiss Digital Nに顕微鏡アダプターを付けて撮影したもの(対物レンズは10倍を使用)です。ISOは800で撮影しています。おかげで1/150秒のシャッタースピードで撮ることができました。最初はたくさんの石の中を動いていたのですが、それを実体顕微鏡の元で、ガラス管を細く延ばした手製のスポイドで吸い取り、スライドガラスの上に載せて観察撮影したものです。

クマムシの写真 クマムシの写真 クマムシの写真

 下の写真は、樽型にしておいたクマムシに水を垂らして、元に戻る様子を撮ったものです。これは、前日の放課後に採集したクマムシを徐々に乾燥させて樽型にするためにスライドガラスの上に寒天を垂らして固め、その上にクマムシを1匹置いてそのまま1日置いておきました。すると、樽型になり、写真の一番左の状態になります。これに水を加えると徐々に形が元に戻っていきます。この場合は15分ほどで足を動かし始めました。この樽型状態であるとかなりの抵抗力を持つらしいのですが、実際に生徒に試させたところ(電子レンジで30秒チンする)、ちゃんと戻りました。

クマムシの写真 クマムシの写真 クマムシの写真

クマムシが樽形になっていくビデオ

 クマムシ(オニクマムシでしょう)を寒天の上に置いて動きを見ていたら、段々と寒天が乾燥してきて元気に動いていたクマムシが一カ所にとどまったと思ったら段々と小さくなっていきました。最終的にはそのまま動かなくなってしまいました。このままどうも「クリプトビオシス」状態になったようです。樽型になった状態ですが、生徒に水を垂らして観察をしてもらったら、30分くらいで動き始めました。ビデオの長さは9分くらいになってしまったので、ファイルサイズがかなり大きくなってしまいました。

クマムシが樽形から元に戻るビデオ(タイムラプス)

 クマムシ(オニクマムシでしょう)を寒天の上で乾燥させて樽形にした後、約20日後に数滴の水を垂らして顕微鏡で20秒間隔のインターバル撮影をしました(使用機材はUSB顕微鏡のUK-50というもので、詳しくは「私の相棒」に載っています。倍率(顕微鏡の)は300倍です。全部で300枚撮影しましたので、ほぼ100分間となります。それをaviutlで取り込んでタイムラプスにしました。結局100分が38秒になっています。一応動きは分かります。ただ、動き始めてからはピントが合わなくなってきています。撮影してそのままほかっておいたので、ピントの調節をしていません。また、最後には動きすぎて画面から出て行ってしまいました。ちなみに、そのままほかっておいたら再び乾燥してきて樽形になってしまいました。

クマムシの卵

 クマムシは一般にメスしかいなくて、メスが受精しないで卵を産み、その卵がかえって新しい子どもができるという繁殖をするらしいです。卵は、自分の殻の中に産み、そのまま殻を脱ぎ捨てていくらしいです。ということで、飼育していたクマムシを別の寒天培地に移動させようとしていると、卵が見つかりました。孵化してくれるといいのですが・・・。

 卵は2017年11月20日に見つけたのですが、その後別の容器に入れておきました。そして、11月27日に観察したところ、2匹のクマムシが歩いているのを見つけました。小さいです。卵は結構まだ残っていたので、どの卵が孵化したのかは分かりませんが、生まれました。このまま成長してくれるといいのですが・・。

クマムシの赤ちゃんの動画

 クマムシの赤ちゃんが生まれたので、その様子をさらにビデオに撮りました。今回は最初のビデオと同じように顕微鏡の接眼レンズに無理矢理カメラをつけて撮影しました。お尻の足にゴミがついていますが、このようにものが引っかかった状態でよく歩いています。

クマムシのビデオ

 クマムシの顕微鏡下での様子をビデオに撮りました。ホールスライドガラスの上に載せてカバーガラスをかけて観察したものです。HPのサーバーを換えてかなり容量が増えたので、HDではないですが、前よりお大きい動画にしました。クマムシのおもしろさがさらに出ているのではないかと思います。4対の足を動かしながら、一生懸命に移動している様子がわかると思います。ビデオは、顕微鏡の接眼レンズにコンパクトデジタルカメラを無理矢理設置して動画撮影し、それをMP4とWebmに変換しています。ファイルが大きいですが、まあみなさん、光などになっているということでお許しください。

 クマムシの顕微鏡下での様子をさらにビデオに撮りました。今回は、私の相棒にも紹介しましたが、nano.capture.proという製品で動画撮影しました。一応260倍まで拡大できるらしいのですが、結構ピント合わせは難しいです。やり方は、スライドガラスの上にシリコン製の輪っかを置き、その輪っかの中に寒天を溶かしたものを入れて固めます。そして、その寒天の上にクマムシをパスツールピペットを使って1匹置きました。水が多いので、ろ紙で注意しながら水を吸い取りました。前のビデオはほぼ水の中で動いている様子ですが、今回は水の中というよりは湿ったところを歩いているというところでしょうか。よって、より自然に近い状態のクマムシの様子だと思います。撮影したものはXMedia RecordというソフトでMP4とWebmに変換しています。ちなみに、バックに見られる青い線はスライドガラスの下に1mm方眼用紙を置いて撮影しているため、その線が見えています。ほぼ大きさが分かると思います。

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