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8.繁殖期における雄と雌の行動圏

 交尾期は春・秋の2回ある。1986年の春の交尾期は3月上旬から4月上旬である。4月の足跡法の調査は4月の下旬に始めたので、春の交尾期の雄と雌の行動圏の様子については調査できなかった。そこで秋の交尾期である9月についてのみ見ていくことにする(図13)。
 9月に行動圏が得られた繁殖個体は雄が5匹、雌が6匹であった。0608オスが68Bメスと0207メスの行動圏をすべて含む行動圏を持つ。また0306オスは71メスの行動圏の多くの部分を含む。しかしながら、これらの雌の行動圏は、他の雄とも少しずつ重複している。この行動圏の様子を見ると特定の雄−雌間で関係があるかどうかは分からない。雄の行動圏の変化で見たように、9月に多くの移入個体が入ってきて、個体数が増加する様相が見られるが、行動圏を描いた時期にはそのほとんどが足跡を残さなかったので、ここに示した行動圏の様子は交尾期での行動圏の様子を示していない可能性がある。

論文図表

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