白山の登山道は、砂防新道や観光新道、楽々新道、岩間道、中宮道などいろいろな登山道があります。その中で一番登りやすいのは砂防新道でしょう。登山道を登るにつれて多くの高山植物が登山客の目を楽しませてくれます。山頂直下には室堂平があり、室堂センターでは夏になると多くの登山客が足を休めている姿を見ることができます。室堂への道にもいくつかあり、それぞれ高山植物の植生が違っているので、歩き分けるとおもしろいかもしれません。
山頂付近は整備されており、室堂センターから御前峰を登り、御来光を眺めた後、山頂のお池巡りコースをまわるのがいいでしょう。御前峰への登山道は瓦礫地帯で乾燥しており、こういった場所に適応した花々を見ることができます。また雪渓も見ることができ、それらの近くには湿性お花畑を見ることもできます。ではそれぞれの場所で見ることのできる高山植物を紹介しましょう。
<山頂お池巡りコース(地図では6−3−4−5)>
室堂から御前峰への登り(地図6)は、一見すると楽そうに見えますが、実はかなりきつい道のりです。途中ちょっと平坦になった場所がありますが、これを過ぎるとすぐに山頂にたどり着きます。朝早く出れば山頂からの御来光を見ることができます。白山は独立峰なので天気が良ければすばらしい展望が望めます。
山頂から歩き出すと、まもなく天柱石そして御宝庫と奇岩がつづく尾根道に入り、ここから池に向かって100m近い降下となりますが、ガレ場ですので気をつけましょう。紺屋ヶ池周辺は噴火口です。ここから最大の翠ヶ池を経て血の池あたりまでは(地図3)、風衝地の植物がいろいろと見られます。チングルマ・コイワカガミ・アオノツガザクラなどの群落があり、血の池の前の岩にはツガザクラ・イワヒゲなどが岩にしがみついています。イワウメが見られるのもこのあたりです。翠ヶ池を越えたあたりはガスが出やすいので気をつけましょう。しばらく行くと千蛇ヶ池となり、この池は雪渓でおおわれていて滅多に水面を見せません。このような池を亜寒帯湖といいますが、日本ではこの池のみとのことです。千蛇ヶ池を過ぎると(地図4)、お花畑コースです。
ハクサンコザクラやクロユリの大群落の後、ハイマツ帯へと入ります。
ハイマツに混じってたくさんの ハクサンシャクナゲを見ることができます。それを過ぎるとやがて室堂センターが見えてきます。御来光を見た後このコースをまわるとちょうど朝食の時間となります。
写真はかなり古い写真のネガからフィルムスキャナによって取り込みましたので、かなり色が悪くなっています(色の調整がきちんとできませんでした)。
これらの登山道における高山植物の分布は金沢大学自然保護研究会発行の「白山の自然」より転載しました。この研究会は、もともと白山スーパー林道の建設反対をうたって設けられたサークルですが、その後金沢市内の環境調査や、スーパー林道の調査、および白山での自然観察などの活動を行っていました。現在は、部員数の減少のため無くなっているという噂を聞いています。(ちなみに私はこの研究会のOBです。)