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3.体重分布について

 図7は月ごとの体重の分布を示す。1985年の4月は幼体が出現したために、雌の体重分布が分散している。雌に比べ雄の方は幼体・亜成体が捕獲されていないため、体重分布は集中している。雌雄ともに30〜35gの体重の部分が多い。また重い個体の割合が高くなっている。1985年の5月には、幼体・亜成体が捕獲され、あまり体重に偏りがない。6月になると雌雄とも30〜40gの体重の個体の割合が増加する。7月になると、雄では35〜40gが60%をしめ、雌では30〜35gの割合が増加する。8月になると、雄では体重の重い個体が増加し、雌においても前月よりも体重が増加している。なおこの時期、雄の睾丸は下降し、繁殖状態にあった。9月になると、雄では40〜45gの個体が大部分を占めるようになり、体重範囲は集中する。雌では30〜35gの個体がほぼ半数を占めるが、45〜50gの個体も捕獲された。10月になると、雄では40〜45gのものが80%を占め、40〜50gの中に全個体が含まれるようになる。雌では幼体が捕獲されるが、成体は40〜45gの体重のものが50%を占めるようになる。この時期の雌は授乳中の個体と妊娠中の個体であった。11月にはいると、前月のような成体の体重の偏りがなく、全体 重範囲に均等な分布を示す。また、幼体・亜成体が増加し、20〜25gの亜成体の割合が多くなる。
 1986年は、1985年と大体において同様の体重分布変化を示す。1986年の4月は幼体が出現していないために1985年に比べると、体重分布が集中している。6月・7月・8月の3ヶ月間は、1985年に比べ、少し体重分布が軽い方にずれている。9月にはいると、1985年よりも重い方へずれる。10月にはいると9月と同様に1985年よりも少し重い方へずれている。また前年と同様に10月に幼体が出現している。全体として、出産後幼体が出現して体重分布が分散し、段々と体重分布が集中してきて、出産旗・授乳期に一番集中する。また春と秋を比べると、秋の方が体重分布が集中しており、また秋の方が体重が重い方へ偏る。

論文図表

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